
先取り学習ってどんな効果があるのかな?
「先取り学習」という言葉を耳にしたことはありませんか。子どもの力が伸びるなら取り入れていきたいですよね。しかし、やり方によっては「先取り学習」は子どもの学力を伸ばせず、効果は上がりません。先取り学習にはメリットとデメリットがあります。それぞれを知ることで、効果的な先取り学習が期待できるでしょう。
本記事では、先取り学習のメリット・デメリットを紹介していきます。メリットとデメリットを知ったうえで、先取り学習について考えていきましょう。
先取り学習とは

先取り学習は、子どもが学校で学んでいる単元よりも、先の単元の学習を進めることです。1つ上の学年の学習をすることもあります。例えば、小学1年生が2年生で習うかけ算の勉強をすることは先取り学習です。国語でも算数でも先取り学習は可能です。
先に学習するという意味では、予習というものもあります。意味は少し違い、予習は次の学習内容を先に学習しておくことです。例えば、小学2年生でかけ算の2の段を学習している時に、次に習う5の段を事前に学習するといったものが予習です。
先取り学習のメリット

先取り学習にはどんなメリットがあるのでしょうか。小学校教諭の経験や、論文、体験談などを参考にして3つあげました。
- 授業内容を理解しやすい
- 自信がつく
- 基礎学力が定着しやすい
1つずつ解説していきます。具体的なメリットが分かり、より先取り学習への理解が深まるでしょう。
授業内容を理解しやすい
先取り学習は授業より先に学習を進めるので、授業は復習になります。したがって授業が2度目の学習となるので、理解しやすくなります。学校の授業は学級の中間レベルに合わせて展開されます。なので、勉強が苦手な子にとってはついていけない場合もあるのです。苦手な分野を先に学習しておくことで、授業内容を理解しやすく、授業のスピードにもついていけるでしょう。
自信がつく
授業が分かるようになれば、「できた」という自信がつきます。全国学力・学習状況調査の結果から、学習ができたことを教師や親などから賞賛されることにより、子どもの自己肯定感は高くなると言われています。東京大学社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所の調査でも自己肯定感と学力は相関関係にあるとされています。成績が上昇したり、勉強が好きになったり、将来の目標がはっきりした子どもの自己肯定感はアップしたというのです。
自己肯定感は子どもの力を伸ばすうえで重要な要素です。自己肯定感の高い子どもはさまざまなことに挑戦し、失敗したとしても次に生かせるなどの特徴がみられます。
<参考>「教育新聞」自己肯定感は成績が左右 東大研究所の調査
基礎学力が定着しやすい
同じ単元を、先取り学習と授業とで2回学習することで、基礎学力の定着を目指せます。先取り学習で7割の理解しかしていなかったとしても、学校の授業で繰り返して学習することで残りを3割を補えるからです。計算や漢字ではくり返して学習すれば、計算のスピードアップや漢字の定着が期待できます。先取り学習は基礎学力を定着させるうえでメリットがあるといえるでしょう。
先取り学習のデメリット
先取り学習にはデメリットもあります。考えられるデメリットは次の4つです。
- 授業に集中できない
- 間違いを恐れる
- 理解しないまま進んでしまう
- 子どもの負担になる
どれも子どもにとってはマイナスな効果です。具体的に解説していきます。
授業に集中できない
学校の授業は「初めて学習する子どもたち」に向けて行われるもの。先取り学習をしている子は、先に内容を知っているため、聞かなくてもいいという気持ちになってしまうことがあるようです。すでに勉強して内容を知っているため、つまらく感じてしまうのでしょう。
しかし、学校の学習では子ども同士で行う話合いや発表なども大事にしています。授業に集中できないと、友達と一緒の学習がうまく進みません。話合いに参加できなかったり、発表の仕方が分からなくなったりしてしまいます。
また、算数や理科などでは、予想したりこれまでの学習内容を使って考えたりすることも大事です。例えば理科の学習では、次のような力も求められます。
- これまで学習した内容や生活経験をもとに、根拠のある予想や仮説を発想し、表現するなどして問題解決をする力
- 事物・現象に進んでかかわり、他者とかかわりながら問題解決しようとする力
ただ「知っている」だけでなく、予想や仮説をたてることが重要視されているのです。先に結果を知っていると、仮説を立てることができません。また、友達と関わりながら学習を進めることも大事です。「ぼく、結果知ってるよ」なんて言ってしまえば、一緒に学習したい子はいなくなってしまいます。そのため、先取り学習は学校での授業に集中できず、友達との関係が悪化してしまう可能性もあります。
間違いを恐れる
先取り学習で学校の授業が分かり、発言したりテストの点数が上がったりすると、周りから「できる人」と見られるでしょう。すると、間違いは許されないと思ったり、間違ったら恥ずかしいと思ったりする子どもも出てきます。発言をしたがらなかったり、友達との話合いで意見を出せなくなったりしていまいます。
間違いを恐れるあまり、新しい知識に挑戦することを避け、学習の幅が狭くなってしまうことも。間違うことは大切であり、なぜ間違ったのかを考えることで深い学びを得られます。間違いを避けることは結果的に子どもの学びを妨げてしまうのです。このように先取り学習には、学習意欲の低下や自信喪失といったデメリットが考えられます。
理解しないまま進んでしまう
先取り学習をしていくうえで、「理解できているか」を確認するのは大事です。何となく分かってできたからといって、どんどん先に進んではいけません。学習内容を理解しないまま進んでいる可能性があるからです。
例えばかけ算の学習においては、九九を覚えてしまえばかけ算はできた気になります。しかし、本来のかけ算の意味が分かっていないまま進んでしまうと、応用問題に対応できません。かけ算の本来の意味は、「同じ数ずついくつ分あるのか」です。この意味が分からないまま進んでいくのは理解しているとはいえません。
先取り学習をするのであれば、理解しているかどうかを見極めてサポートする存在も必要です。子どもが勝手に進んでいくのは、大変危険です。
子どもの負担になる
先取り学習が子どもの負担になる場合もあることを、親や教育者が注意しなくてはいけません。子どもたちは、成長過程において様々な学びや経験を積むことが大切です。しかし、先取り学習を強く推進することで、子どもたちの自由な時間や遊びの時間が削られることが考えられます。学習だけに時間を費やすことは、子どもたちの心身の成長や社交性の育成に悪影響を及ぼすでしょう。
また、先取り学習のプレッシャーは、子どもたちの学習意欲を低下させる原因となることも。自らのペースで学び、理解することの喜びや達成感を感じる機会が減少し、学習に対するモチベーションが失われる恐れがあります。
さらに、先取り学習によって高い学習目標を持つことが、子どもたちに過度なストレスや不安を与えることも。このような状態が続くと、学習に対する恐怖や嫌悪感を抱くようになり、長期的な学習の障害となることも考えられます。
先取り学習おすすめ教材
先取り学習は、そのメリットとデメリットを考えて進めることが大事です。子どもが意欲をもって行っているのか、理解はしているのか、進度はちょうどいいのかをサポートしていきましょう。
家庭でも先取り学習は可能です。これから紹介する2つの教材は、先取り学習だけでなく前の学習を復習するさかのぼり学習もあります。先取りばかりでなく、理解が不十分なところは復習していくことが大事です。
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国語 | ・漢検対策 約11,000問 ・語い、読解 約5,300問 |
算数 | ・計算、図形、数、量 約13,000問 |
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また、間違えた問題は攻略レッスンが配信されるので、苦手も克服できます。

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まとめ
先取り学習のメリットとデメリットについて解説してきました。
先取り学習は進め方によっては、子どもの力を大きく伸ばします。大事なのはメリットとデメリットのどちらも理解したうえで、子どもの様子を見ながら進めていくことです。
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